交通事故の過失割合はどのように決定されるのか
交通事故の過失割合は、交通事故の当事者同士がどのくらいの過失があったのかを数値で表したものです。
過失割合から賠償金額なども算出されるので、過失割合は交通事故問題解決においては非常に重要なものになります。
示談を有利に進めるためにも適切な過失割合であるべきですが、過失割合は誰がどのように決定しているのでしょうか?
過失割合は誰が決めているのか?
交通事故の過失割合は誰が決めているのか知らない人も多く、警察が決めていると勘違いしているケースも少なくありません。
しかし、過失割合の決定をしているのは保険会社なのです。
警察が行うのは実況見分
交通事故が発生すると、まず警察に通報します。
そうすると、警察が事故の状況を確認して、どのような状況でなぜ事故が起きたのかを記録する実況見分調書(人身事故の場合)(物損事故の場合は物件事故報告書)を作成します。
また、事故の当事者同士の言い分を聞いた上で供述調書も作成しますが、警察が行うのはあくまでも事実に基づく「記録」のみです。
そのため、警察が作成する資料には過失割合は記載されることがありません。
これは、警察には「民事不介入」という原則があるからです。
もちろん事故の原因をハッキリさせようと警察は動きますが、示談や損害賠償請求のような民事に影響を与えるようなことができないため過失割合には介入しません。
保険会社が過失割合を決定している
過失割合は、本来であれば交通事故の当事者同士が話し合って過失割合を決めます。
しかし、加害者が加入している保険会社が交渉を行うことが大半であり、保険会社が過失割合を決めています。
大半の交通事故は、被害者にも何らかの不注意や落ち度があったとして、何割かは相殺されることになります。
ただし、一方的に相手の保険会社が過失割合を提示してきたとしても、その過失割合が正しいとは限りません。
保険会社の見解が必ずしも正しいわけではない
交通事故における示談交渉をすすめる上で、賠償金を決めるために保険会社が過失割合を決定して伝えてきます。
しかし、保険会社が提示する過失割合が必ずしも正しいわけではありません。
相手の保険会社が算出しているので、賠償金額を抑えるためにも過失割合を加害者に有利にしている可能性もあります。
提示される過失割合は最終決定ではないので、本当に提示された過失割合が適切であるのか知識のある弁護士に検討してもらうべきなのです。
過失割合が変わることで賠償金額が変わってくるので、弁護士に相談して適切な過失割合で賠償金を算出してもらいましょう。
過失割合を決める方法とは?
過失割合を決めているのは警察ではなく保険会社であることが分かりましたが、保険会社はどのように過失割合を決めているのでしょうか?
過失割合を決める方法を知って、適切な過失割合への導き方を知りましょう。
過去の事故判例を参考にしている
過失割合を決める際には、警察が作成した資料をもとにしながら、過去に起きた交通事故の裁判例を参考にして過失割合を決めています。
つまり、実際に過去に起きた交通事故の中から似たような状況の事故を探し、その事故が裁判所によって判定された過失割合を参考にしているのです。
裁判例の確認方法
過失割合を決めることになる裁判例を確認する方法は、判例タイムズが出版している法律雑誌「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」です。
どういった状況でどんな事故にあった際に過失割合がどのようになるのかが、細かくパターン別に記載されています。
書店ではあまり販売されていませんが、ネットでは購入できるので自分で判例を探すことができます。
ただし、複雑に細かく分類されていますし、専門用語も使われているので知識がないと読み方が難しい本ではあります。
過失割合に不満や疑問がある場合には弁護士へ相談を
もし相手の保険会社の提示された過失割合に不満や疑問がある場合にはどのようにすべきなのでしょうか?
もし自分が加入している保険会社に任せている場合であっても、必ずしも全力で自身の味方をしてくれているとも限りません。
そのまま示談交渉を進めてしまうと損してしまう可能性もあるのです。
弁護士に相談するようにしましょう。
過失割合の適切性を検討する
まずは、提示された過失割合が本当に適切なのかを検討する必要があります。
この時点で弁護士に任せることもできますし、知識が必要にはなりますが判例タイムズで確認して提示された過失割合の適切性を検討し直しましょう。
必ずしも保険会社の参考にした判例が正しいとは限りませんし、知識がないことから不当な過失割合を割り当てるケースも少なくありません。
弁護士に相談する
もし自分で過失割合について調べて、修正を要求しても保険会社が受け入れない場合も多いものです。
また、知識のない状態で過失割合を調べるのは非常に難しいものです。
そういった場合には弁護士に相談して、適切な対応を取ってもらいましょう。
弁護士は法律の知識だけでなく、過失割合の認定基準を知った上で高い交渉能力で相手の保険会社に対応します。
そのため、不当な過失割合を押し付けられることもありません。
まとめ
過失割合は、交通事故の損害賠償を左右する大きな役割がありますが、決めているのは保険会社です。
自分にとって損な方向に進んでしまうというケースも少なくないので、過失割合について不安な点がある場合には相談ください。
交通事故に詳しい弁護士が依頼者の納得できる結果になるようサポート致します。