症状固定と後遺障害等級認定(事前認定・被害者請求)に関して

後遺障害等級の認定を受けるには症状固定の診断が必要であり、そして認定の手続きをする方法は2種類があります。
事前認定と被害者請求の2種類になりますが、どちらにすべきか悩む人も少なくありません。
そこで、事前認定と被害者請求のそれぞれのメリットとデメリットについて知っておきましょう。
あわせて、症状固定に関しても詳しく解説していきます。

症状固定と後遺障害等級認定の関係

症状固定とは、交通事故による怪我の治療をこのまま継続しても症状の改善が見込めない状態を言います。
症状固定になるまでは、加害者の保険会社より治療費や必要に応じて休業損害が支払われます。
しかし、症状固定になると治療費などの支払いは打ち切りになります。
そこで、症状固定になった時点からは後遺障害慰謝料と逸失利益を加害者の保険会社に請求することになりますが、そのためには後遺障害等級の認定が必要なのです。
後遺障害等級の認定手続きには、症状固定の後に残った症状を調査・検査して医学的な根拠の元で主張をします。
つまり、医師による症状固定の診断がなされなければ後遺障害等級認定の手続きはできません。

症状固定の時期

症状固定は医師によって診断されますが、怪我の程度や種類によっても症状固定と診断される時期は異なります。
交通事故による代表的な怪我の症状固定時期の目安を見ていきましょう。

むち打ち症

むち打ち症は、等級認定では12級もしくは14級になります。
目に見えない症状なので、客観的に証明するには非常に難しい障害です。
そのため、むち打ち症では治療内容や症状の経過、そして自覚症状に一貫性があるのか等が重要視されます。
症状固定までの期間は、事故から半年以上の治療期間を経てからが目安です。

高次脳機能障害

高次脳機能障害は、交通事故による意識障害や自己認識の欠落、抑うつなどが挙げられ、日常生活に大きな支障をきたす障害です。
しかし、高次脳機能障害も目に見えない症状なので、具体的な証拠を提示する必要があります。
症状固定になるタイミングとしては、事故から1年もしくは1年半くらいの治療期間を経てからが目安です。

醜状障害

交通事故によっては外貌に目立つ傷跡が残った場合の障害であり、傷跡の部位と程度で等級が変わります。
こちらは目に見える障害なので証拠を提出しやすくなっています。
醜状障害の場合は、事故から半年以上の治療期間を経てから症状固定になるケースが多くなっています。

事前認定と被害者請求の違い、メリット・デメリットとは

医師によって症状固定と診断されてから、後遺障害等級の認定手続きを進めていきますが、申請方法が2種類あります。
「事前認定」と「被害者請求」の2種類になりますが、どんな違いがあるのか見ていきましょう。

事前認定と被害者請求の違い

事前認定は、加害者が加入している保険会社が手続きをする申請方法です。
保険会社が病院から後遺障害診断書等の申請に必要な書類を受け取り、手続きを進めていきます。
ただし、加害者が任意保険に加入していない場合には事前認定はできず、もう一方の方法で申請します。

被害者請求は、被害者が自ら後遺障害等級認定の手続を行う申請方法になります。
被害者が後遺障害等級の申請に必要な書類を集めて、自賠責機構に提出します。

つまり、大きな違いは申請を被害者がするのか代行してもらうかの違いです。
どちらの申請方法を選ぶのかは、自身で決めることができるのでメリットとデメリットを知った上で申請方法を決めましょう。

事前認定のメリット

事前認定の最大のメリットは、手続きに手間がかからないということです。
加害者の保険会社側が代行して後遺障害等級認定の手続を行ってくれるので、被害者は病院に発行してもらう後遺障害診断書を提出するだけです。
そのため、面倒な手続きを任せられて負担が軽減されます。

事前認定のデメリット

加害者側の保険会社が手続きの代行をしますが、自分の味方ではないので事務的な手続きだけで内容の不備などを指摘したり、等級認定を有利になるよう進めてくれるということは期待出来ません。
また、事前認定を選んだ場合は示談金が一括払いです。
そのため、示談金を早く受け取りたいため先払いを望む人にはデメリットになります。

被害者請求のメリット

被害者請求のメリットは、自分で後遺障害等級認定の手続をできるので弁護士に依頼して等級認定が有利に進められます。
依頼する弁護士事務所によって対応は違いますが、交通事故に詳しい弁護士に依頼することで賠償金額を増額できる可能性が高まるのです。
書類の不備がないように準備をし、必要であれば医師と面談を行って後遺障害等級認定に必要な事項に漏れがない後遺障害診断書を書くことを依頼したりします。

被害者請求のデメリット

被害者請求は自分で申請手続きをするので、手間がかかる点がデメリットになります。
もし、自分一人で申請手続きを準備するのであれば、書類不備がないように慎重に準備をしなくてはいけません。
弁護士に依頼する場合であれば、手続きを任せられるので手間はデメリットにはならないでしょう。

まとめ

症状固定は後遺障害等級認定を左右する大きなタイミングであり、その後の等級認定の申請方法を決めることも大事なことです。
自分一人では対応しきれない場合には、ご相談ください。
交通事故問題の実績も多く、知識の豊富な弁護士が対応いたします。
初回相談は無料ですので、症状固定や後遺障害の申請についての疑問がある場合など気軽にご連絡ください。